フィルムの火は消えるのか？

デジタルカメラですら伸び悩み始めた昨今、フィルムカメラはさらに厳しい状況に置かれ始めています。
APSフィルムの製造もほぼ終了段階ですし、フィルムの品種も減って、値段も上がる一方です。

さらには米イーストマン・コダックに破産の危機というニュースも出てくる状況で、このままではフィルム供給先すら危うい状態になってきています。
タイトルの通り、フィルムの火が消えてしまうことも冗談にならない状況といえるかもしれません。

個人需要が減ったことも大きいのでしょうが、医療関係や証拠写真的な要素の業務用途が思った以上に早く減ってしまったのが大きいのでしょう。
デジタル聡明期は「デジタルは改竄が簡単だから」と言われたものですが、そのあたりも真正性検証技術やソフトウェアも登場して、コスト面からも早々に変化してしまいました。

以前、フィルム製造の体験をしたことを書きましたが、フィルム作りには思った以上に大掛かりな製造設備が必要です。
完全な暗室が必要ですし、化学薬品を扱うために環境への配慮も大変です。
そういう面もあって、フィルム、特にカラーフィルムについては現在製造しているのは富士フイルム、Kodak、イタリアのフェラニア、それに中国のラッキーくらいでしょうか。

また、一度生産設備を取り壊してしまうと、再度生産するのはかなり難しいといって良いでしょう。
噂では既存の設備もずいぶん他の生産に置き換えられたらしいですし、そもそも優秀な技術者もどんどん減ってきていることでしょう。

ただ、モノクロであれば、他にもフォマやMACOなどもありますし、設備も多少は小さくて済むかも。
ポラロイドフィルムが復活した経緯もありますし、なんとか少しでも長く残ってくれればと願うだけです。
また、願うだけでなく、今まさにフィルムで写真を撮ることも大切ですよね。
これから秋の良いシーズンですし、難しいことは別にして、楽しくフィルムで撮りたいと思います。